検察審査会の実態と裁判員制度への不安。

Author: JackDaniel | Posted: 05/05/15 15:29
Category: columns | Edit | [B]
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まあ,昔も書いた話かも知れませんが,検察審査会の話を聞く度に,裁判員制度の行く末を案じてしまう,というお話です。

・・・先日,ヤフーの社会ニュース - 5月15日(日)のもの・・・をみたら,
「家庭内暴力(DV)で妻に約5日間のけがをさせた大阪府枚方市の男性(37)について、大阪地検が傷害罪で略式起訴していたことがわかった」
そうです。

これは不起訴とされたDV事件について,検察審査会が不起訴不当とした結果こうなったらしく,それはそれでよくわからないなぁと思っており,記録を読んでいない以上,これ以上はコメントできません。
ともあれ,検察審査会ってどういう風に行われているか,この記事を読んだ(書いた記者も含めて)皆さん知っているのでしょうか。私は実態を実は掴んでいないんじゃないかと危惧しています。
まあそういわれると,ネットで記事を読んでいる人は直ちにグーグル検索して,知ってますよと答えるのが常識なのですが,とりあえずグーグルで検索するとここなどがあったりするわけです。

で,そういうネットでわかる話はさておいて,です。

私,修習中に検察審査会の関係者から話を聞いたことがあるのですが,構成員の国民の皆様は,ほとんど書類を読むような習慣のない人も相当数いるわけで,そういった人のために検察審査会の運営を担当する側が「重要そうと思える場所を全記録から抜き出し」「読み仮名を振ったり,傍線を引いたり」するらしいです。

そう。合議の進め方をスムーズにするために働いている人がいるわけです。

言わんとすることはわかると思いますが,そうしないと審理が成り立たないわけですよ。記録きちんと読めない人もいるし。
そして,検察審査会の制度を知っている人は,おわかりだと思いますが,裁判員制度と異なり,メンバーは6か月間その任務に置かれているので(半分ずつ入れ替え),裁判員制度のように事件ごとに選任がなされるのではありません。
私は裁判員より検察審査会のメンバーの方が合議には慣れることが出来るのではないかと思っています。

さて,あえてぐちゃぐちゃと書きましたが,ここで言いたいのは,裁判員制度は本当にうまく導入できるのか,裁判員制度を導入した末に出される判決で本当にいい結論が出るのかに私は不安を覚える,と言うことです。

例えば・・・上記の検審の実態からすれば,裁判官に簡単に誘導されてしまうのではないでしょうか。
例えば・・・まともに議論ができなかった合議体が,独自の結果を出したとしたらとんでもない結果になったりしないのでしょうか。

・・・いずれにしろ,私は裁判員制度をいい制度とは思っていません。
意外に思われるかも知れませんが,多くの部分で,日弁連の意見は大半の実務家の意見とは食い違いがあります。私の感触では,法曹の大半は裁判員制度に賛成などしていません。

もっとも,私も実務家ですから,人ごとではなく,制度が決まれば可能な限り自由と正義を守るために仕事をせざるを得ないのです。
ですから,実際のところ,公式見解として「駄目な制度だ」とは誰も言わないわけです。

#トラックバックを頂いたようですので追記しますが,裁判員制度には不備が多く,賛成できないと考える人の方が多かったのではないか,というのが私の正確な感触です。もちろん,他の法曹の方からは当然異論もあるでしょうし,様々な交渉・妥協の産物なのかも知れませんので,この制度を作り上げた方について非難するものではありません。
 また,現在では賛成とか不賛成とかを超えて(最後に書いたように)「うまくいくようにしなければならない」状況になっていることは踏まえておく必要があるでしょう。
 ですから,現在の実務家の状況は,どうなるかわからないけど,国民の皆さんの決めたことだから,みんなでがんばりましょう・・・という感じだと思います(思ってます)。

 

頂いたコメント

1 : 岩本 将 : 08/07/10 10:04 ID:???

58年にわたって検察審査会制度広報をボランティア活動により行っているnpo法人の理事長ですが、20年度より管内各自治体より補助金のカットが一斉に行われ、困惑の極に達しています。
協会と裁判所(検察審査会事務局)との関係について、各自治体が問い合わせた結果は、「関係のない別の団体」とのみ答えている裁判所の姿勢は、①全国各地の協会事務所(全国連合会を含む)は各地の裁判所内にあること ②昭和30年に全国連結成式には最高裁幹部も同席して協力し合うメッセージを残していること ③毎年開催される全国連総会には最高裁総務部刑事局長又は最高裁長官が出席して「全国連および全国の協会員に対して感謝と尊敬の念を持ち、検察審査会運営のバックボーンとなっている」旨の発言が残されていることを考え併せると明らかに矛盾しています。この件について静岡地裁幹部と3回7時間にわたって話し合いをしましたが、「便宜の供与になる恐れがあるので現在のコメント以外は自治体等に公表するスタンスを持っていない」との最終結論でした。
裁判員制度については、電通と契約して16億7000万円という巨額の税金を費やして広報活動を行っていますが、同じ司法改革の一環としての検察審査会制度(協会員の活動の中での実感は10%程度という以上に低い認識度)についての公報にはほとんど費用をついやしていないのは、「司法改革」の精神を持ち合わせていないとしか思われません。
裁判員制度については、集約・整理をして短期間で判決を出すために、本当に正確なデーターが裁判員に示されるのか疑問に思います。又、検察官にのみ与えられている「公訴権の行使」については、いわゆるグレイゾーンの部分について、起訴すべきものを起訴しなくなる可能性も大きく、結果として検察審査会の重要性が増すことになるが、先程の以上に低い認識度について裁判所は危機感を全く抱いておらず、結果として国民の基本的人権の擁護が無視されることになりかねません。最高裁判所はこの点から考えて検察審査会制度広報に関して、現存する全国各地の検察審査協会に対して、広報事業活動委託金等により広報活動の強化をはかるべきだと思います。

2 : 岩本 将 : 07/06/30 08:48 ID:???

浜松検察審査協会役員として昭和62年より制度のpr活動をボランティア活動を行っています。施行以来60年を経過しているのにもかかわらず、pr活動の中で認識度は10%以下の実感は裁判員制度の非認識度と同程度です。この危機的な実感に対して運営管理者である最高裁判所は認識度は30%として危機感をまったく持っていません。そのため、協会は平成17年11月に全国で初めてnpo法人化しました。
検察審査会制度は、世界に類例のない制度であることを強く認識して、HPでみた最高裁判所に電話して、このことについて本音での話し合いを申し込みましたが、広報課の受付は意見を聞くだけは聞くが、回答をするかしないかは裁判所の判断であり、確約はしないし、担当者にも電話はつなげないと門前払いを食らいました。法律を守る裁判所の態度として許される態度ではないと思います。皆さんのご意見をお聞きしたいと思っています。

3 : 岩本 将 : 05/08/13 10:43 ID:???

昭和62年より浜松検察審査協会の役員として検察審査会制度のPR活動に携わっています。裁判員制度についてはメディア当で話題になり、政府も活発なPR活動を行なっていますが、検察審査会については、法施行以来57年を経過しているにもかかわらず、認識度は20%以下と低迷しています。世論調査も平成2年を最後に行政府(最高裁)は検察審査員の審査会出席の時の身分保障に関しても、何の手も打っていません。
裁判員法においても、身分保障の条文はなく、守秘義務違反の罰則強化のみで、現場を知らない経営者が会社を運営しているようなもので、JR福知山線の脱線事故のようになる可能性は大です。両制度に対して行政府である最高裁も政府も根本から制度を見直すことが緊急課題だと思います。

4 : 高野 善通 : 05/05/26 15:43 ID:???

 まず、この記事で指摘しておかねばならないのは「国民の皆さんの決めたことだから・・・」という部分です。皆様もご承知のように7割の人が「なりたくない」制度を、国家権力(特に国会は政党が全会一致で)の総与党化というとんでもない暴力的システムで決められた制度なのです。全く「国民のみんなで決めた」シロモノではありません。少なくともこの制度に対して選挙で「民意を反映させる」ことは不可能な構造なのです。

 検察審査員制度ですら「7割が欠席する」というらしく、補充員も確保できずに「流会」となってしまうケースも多々ある、ともいわれているのですが、裁判員制度では検察審査員制度以上に維持する条件が厳しくなります(少なくとも流会にすることは許されない)。
 というのは、毎回の公判廷で6人の裁判員すべてが出席するのが大前提であり、一回でも欠席してしまえば、その人の判断に重大な影響が出ることが考えられ、1人でも欠席した場合に「補充員で埋め合わせ」というわけにはいかない(毎回同じ裁判員でなければならない)ためです。また、あまりにも欠席者が多くなり、公判の維持ができないとなると、刑事裁判(それも国家の治安を揺るがす重罪事件)の停滞を招くため、ひいては国家の国際的信用、国内治安の悪化という深刻な状況を招きかねないとまで考えられるのです。

5 : ニュースの研究所 : 05/05/18 00:48 ID:???

裁判員制度調査倶楽部を立ち上げました。
http://blog.livedoor.jp/saibanin/
裁判員制度に反対或は慎重な人が、相互リンクによって影響力を共有するための倶楽部です。

6 : 遠藤きみ : 05/05/16 19:29 ID:???

 全く同じ意見です。この3月末で裁判官を退官して,弁護士になりましたが,裁判官時代,一緒に仕事をしていた裁判官達も話してみると,どなたも反対意見でした。刑事裁判を担当していた人は,裁判員制度の開始までにやめたいと言っていました。私は,裁判員制度をきちんとやれるようにするには,全国の裁判所のほんどの改築や増築が必要であるとともに,裁判官の数を現在の倍位にしなければならないのではないかと思いますので,前者はお金さえかければ出来るでしょうが,後者の裁判官の増員は到底不可能なので,結局,予定の期間内での裁判員制度の実現は,無理としか言いようが無く,おそらくそのうちに延期,やがて取りやめということになるに違いないと考えております。その頃は言い出しっぺの方々は,皆さん直接関係のないお立場になっておられるのでしょうね。

 

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