2002/11/30 (土)
●いつの間にか・・・ 法科大学院構想が参議院を通過している。もう、確定だ。
正直、恐ろしいと思う。
何しろ、あと2年後にはもう統一適性試験が始まって(つまり、現行司法試験で一本なのは来年だけ!)、2007年には最初のロースクール出身司法修習生の修習が終了するというのだから。
まあ、最初は何人ぐらいなのかよくわからないが、当然、批判をかわすためにかなり優秀な人間を少数、ということになるだろう。
そしてまた、知らないうちに大量のロースクール出身者が法曹界を席巻することになるだろう。その結果は十数年経たないとわからない。
この世界、一体どうなるのだろうか?
正直、戦後五十数年続いてきた、世界でも有数の公平な試験がなくなって(まあ、丙案とかあったけどその例外は毎年100人程度で収まってきた)、不透明なロースクール制度になることは、僕はよいことだとは思っていない。
なぜなら、今回のロースクール制度が少子化にあえぐ大学の復権の、一つの方便の様な気がしてならないからだ。
大学は学問をするところであって、俗世間から離れているのが当然と思っていたのに、それほどの危機感を大学は持っていると言うことなのだろうか。
だが、法学部が学生から見放されているとすれば、そもそも、教授たちの責任であろう。
大学が変わらなければならないのに、無関係の実務を大学側に引き寄せたような気がする。迷惑だ。まったく。
と、怒るのは僕が受験生側に立っているからかもしれない。
今回の司法試験だって、合格者の平均年齢は27.57歳、要するに大学を出て、5年ぐらい経っているのが普通なわけである。
通常、もはや大学とは没交渉であるだろう。
にもかかわらず、現役の学生に有利な制度(頭の柔軟性や、情報の面で)が再来年から実施されるとなると、今の受験生(特に今年あたり大学を卒業した人たち)が5年後に苦況に陥るのは目に見えている。現行の司法試験の合格者は減らされて、学生に有利なロースクールには行けず、かといって、就職はできず、世の中に放り出されるわけだ。
まあ、人数がそれなりにいるうちは予備校が助けてくれるだろうが、採算ラインを割った時点で、司法試験予備校も無視するようになるだろう。
そんな、司法改革被害者たちは一体どこに行くのだろうか。
え?10年先のことなど話をしても意味がない?
そんななかなか受からない奴のことを考える必要はないですか?
そうでしょうかね。僕はそうは思いません。
「受験勉強をはじめてから」6年「以上」の合格者が4割をしめるんですよ。今年は。それも、たった3%の中で、かつ、若手優遇措置があっての話です。
今年は論文の時の発表をみると、丙案で200人近く助かっていますから、実質、司法試験にまともにやって合格するには6〜8年が普通なんです。
ちょっと運が悪ければ、10年なんてあっという間。
っていうか、単純にこの試験の合格者の数をふやせよ!といいたくなるのは僕だけではないと思います。すごい不当だし。上に書いたみたいな結果は。
なのに、大学が太る制度になっている、これはもう、何かの意図があるとしか言いようがありません。
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