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2003/12/30 (火)

輸血したらHIVとは・・・
 ところで,被害者は訴訟を起こせるのでしょうか。
 私は,この人が損害賠償を受け取ることができなくてはあまりにかわいそうだと思います。
 コストを分散できるのは日赤だけであることからしても,日赤は絶対に責任をとるべきでしょう。

 それはつまりこういうことです。
 まず,従前から行われていた高精度検査でHIVウイルスの入った血液が輸血用として提供されてしまっていた事故があったにもかかわらず,なお同様の検査をしてしまっていた日赤には過失があったのではないか。
 あるいは,コストや迅速性などの関係で過失がなかった(不可避だった)とすれば,必ず起きうる事故なのであるから,被害者は補償を受けるべきではないか。
 とすれば,そういった事故を予見しつつ,補償制度を整備しなかった日赤,あるいは厚生労働大臣には過失があるのではないか(国賠もいけるかな?いわゆる「悪魔のくじ」の理論と似てますね)。

 さて,自分が事件を受けたとして,そんな理論構成でも大丈夫なんでしょうか。
 こういう訴訟があったら勝ち目が薄くても絶対に受けたいです。

司法制度改革。
 今年一年,皆さんにはたいへんおせわになりました。
 研修所入所,引っ越し,就職活動,結婚式,披露宴と私にとっては激動の1年でした。
 そんな年だったからこそ,自分が多くの人に支えられているな,と実感できた意味でとても意義深い1年でありました。
 来年も皆様のご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願いします。

・・・それにしても,今年はあまり更新ができませんでしたので,来年こそは。
 それに,もう少し法曹にふさわしい「品のある(?)」ページにもしなければなりませんし。

 とりあえず,今年の最後のトピックはあるMLで流されていた,法曹養成検討会の議事概要を読んでの話です。

 すでに法科大学院という,訳のわからない制度は導入されることは決まってしまっているので,私の現在の興味は,
1.現行司法試験は平成18年度以降(後2回は1500人で推移するらしいので。)どうなるのか,
2.司法修習生の制度はどうなるのか(特に給料はでなくなるのか)。
 の二つに絞られています。正直,私の友達や後輩で受験を続けている人たちの方が心配だからです。

 そして,法曹養成検討会の議事録を読んだ限りでは,
1.平成18年度以降はこのままだと500人以下
 になる可能性も高いです。

 会議において座長は「1500人が合格する年が2年間続いた上、なお数百人程度が合格・・・現行司法試験を受験している者にとっては相当手厚い救済措置ではないのか。」
 また,委員の一人は「本来合格すべき者は、3500人という枠の中で十分吸収できるのではないか。」「非常に能力のある者が現行司法試験に残留することを想定して制度設計する必要はない」
 とかいってます。
 そもそも「法科大学院は従来の受験生よりレベルの十分高い学生を送り出せるものと想定されているので、現行司法試験の合格者数が500人では少ないとは思えない」
 とかいう意見まであり,なにもわかっていないとしかいいようがありません。
 司法試験合格者がほとんどない(あるいは一桁)の大学が急いで作った法科大学院が多くある現状で,そこから従来の受験生よりレベルの高い学生が送り出せるとは,どういう根拠でものをいっているのでしょうか?
 もっとも,別の委員は「現在、司法試験合格者の平均年齢は28歳であり、平均6回受験している。予備校に通い暗記して早く受かる者もいるが、そうではなくて、じっくり勉強して力をつけて合格してくる者もたくさんいることは、司法研修所でも分かっている。」
 と語っています。
 私も,法科大学院の目指す,試験だけに優秀な者が法曹になるべきではない,という理念は支持しますので,是非とも後者の委員のような考え方をもって,現行の受験生が不利益を受けないですむようにしていただきたいと思います。
 択一合格経験で区別するとか,そういう方法はないのでしょうか。
 司法試験が今でも3パーセント合格しない試験であって,そのうちの(アルバイトを含めた)無職者の数はほかの試験と比べ者にならないほど多いという現実をきちんとみてほしいです。
 自分の経験からすれば,もし3回目からは100人とかなったら,絶望しますね・・・。

 2.ちなみに,司法修習生の給与は貸与制になる可能性はそうとう高いようです。
 もっとも,これも見識ある考え方とはいえないと私は思います。
 ある委員いわく「法曹養成の議論には相当気をつけないと、世間の反発を招くことになる。法曹三者の社会的ステータスは高いのかもしれないが、自分としてはサイエンティストやエンジニアを育てていくことと同じ位置づけと考えている。彼らは貸与制による奨学金を受けている。この問題の議論では、そのような他の分野のことも考えなければ、反発を招くことになる。」
 などといっていますが,「世間の反発」って,なんなんでしょうか。
 私は医療者,法曹,宗教家のいわゆる「プロフェッション」においては,ほかの職業とは一線を画した立場であるからこそ,報酬を超えて高い倫理を求められると考えています。
 正直,それ相応の待遇しかしなければ,それ相応の倫理を備えた法曹しかいなくなってしまうのではないでしょうか。
 「世間の反発」などという低いレベルの議論をしないで欲しいと思うのは私だけではないはずです。

 それとも,国民がそう望むならしょうがないのでしょうかね。

 今回の話のネタモトになった小倉弁護士のメールでは「道路を作る金はあるのに・・・」とありましたが,本当にその通りです。